先日、5月19日に行われた松尾泰貴さんの講演会は、私にとって非常に刺激的な時間でした。松尾さんは、かつて大阪府八尾市の行政マンとしてご活躍され、現在は友安製作所ソーシャルデザイン部の担当執行役員を務めていらっしゃいます。彼の歩みは、「みせるばやお」という地域企業、大学、金融機関からなるコンソーシアムの立ち上げ、そして2020年には「FactorISM」というオープンファクトリープロジェクトの創設など、まさにものづくりを広域的なネットワークでつなぎ、地域を巻き込みながら多岐にわたる活動を展開されています。
ものづくり探検隊の中村さん(ベストリビング)も個性的でユニークな方ですが、松尾さんは自他ともに認める「ヘンタイ」。この言葉には、常識にとらわれず、ものづくりへの並々ならぬ情熱と行動力を持って、地域を動かしていく松尾さんの魅力が凝縮されていると感じました。
八尾市の挑戦:地域を巻き込む「みせるばやお」と「FactorISM」
松尾さんが手掛けてきたプロジェクトは、八尾市という地の利を最大限に活かしています。関西圏という人口密集地であること、そして企業数の多さは、オープンファクトリーに多くの人が訪れ、多様な連携が生まれる土壌となっています。しかし、これは単に「八尾市だからできた」という話では決してありません。
重要なのは、松尾さんの行動力と、地域全体を巻き込むビジョンでした。「みせるばやお」や「FactorISM」は、単なる企業紹介や工場見学にとどまらず、地域全体を「ものづくりの拠点」として活性化させるという明確な目的を持って運営されています。企業と企業、企業と大学、さらには金融機関までをも巻き込み、新たな価値を生み出すための広域的なネットワークを構築している点が、彼らの成功の鍵だと感じました。
日田市の可能性:八尾市の事例から学ぶ地域活性化のヒント
八尾市の事例を聞いて、「それは日田ではできない」「人が多い都市圏だから」と感じるかもしれません。しかし、私はそうは思いません。もちろん「FactorISM」をそのまま日田市で真似る必要はありませんが、日田市には日田市ならではの強みと可能性が秘められています。
日田市は、豆田町を中心に多くの観光客が訪れる、魅力的な観光地です。さらに、林業や農業、そして家具産業など、古くから多様なものづくり企業が根付いています。また、福岡からの交通の便も非常に良く、アクセス面での優位性も持ち合わせています。
八尾市が人口や企業数の多さを活かしているように、日田市も観光客の多さや、地域に根差したものづくり企業、そして豊かな自然といった独自の資源を最大限に活かせるはずです。同業種・異業種間の連携を深めることで、日田のものづくりはもっと面白く、もっと魅力的なものになる可能性を秘めていると感じました。
日田のものづくりを「ヘンタイ」に!
松尾さんのような「ヘンタイ」とも称される情熱と行動力は、日田のものづくりにも新たな風を吹き込むきっかけとなると感じました。既存の枠にとらわれず、「もっと面白いことをしよう」「もっと地域を盛り上げよう」という熱意を持った人々が連携することで、きっと想像を超えるようなプロジェクトが生まれるはずです。
日田のものづくりが、これからの未来に向けてどのように発展していくのか。
ワクワクする講演でした。

