3月は新年度予算案について審議されます。
代表質問や一般質問の場においても、新年度の市政執行方針や予算案について、市長の考え方や日田市の財政状況は、どうなのか多く問われました。
新年度予算案については、議論することが多いとしても、補正予算の審議が適当で新年度予算の審議が重要だということではありません。
どの議案に対しても、根拠は何なのか、効果はどう考えられているのか、予算は適切なのか、事業評価や分析はどのように行うのか、また継続事業の場合、前年度までの内容と同じなのか、違っている場合はどのように変更しているのか、など様々な角度から見ていく必要があります。
私が所属する教育福祉委員会では、学校教育の現場で進められているICT機器を活用した多様な学習、コミュニティスクール導入による地域との連携、文化財(文化遺産・文化資源)の保存活用を図るための日田市文化財保存活用地域計画の着手、放課後児童クラブと放課後子ども教室の連携、また、高齢者福祉、妊娠・出産期からから子育て世代まで切れ目のない支援を行う拠点づくり、障がい者(児)の自律や社会参加の促進、農福連携、コロナウイルス感染症予防のためのワクチン接種など、多くの案件について審議しました。
今回、マスコミ報道でも取り上げられましたが、上津江・中津江地区の福祉施設、こども園について、委員会の審議において、執行部とのやり取りはもちろん、委員会内部でも議論を重ねました。
上津江・中津江地区において、高齢者福祉施設・医療施設・こども園については、以前より日田市の方針として、振興協議会への説明が行われてきました。
日田市としては、「説明を行って、地域の方には理解してもらっていると考えている。」という受け止め方でしたが、地域の方々にとっては「一部の住民は知っていたかもしれないが、全員が理解している事業ではない。」また、振興協議会や相談があった会合に参加している方々にとっては、「日田市の方針をすべて受け入れたわけではない。これから議論がされていくものだ。」と表明していて、適切な話し合い、ましてや明らかな合意形成にも至っていない状況でした。
教育福祉委員会では、これまでの議会や決算審査においても、この件については、移転先や整備方法については、利用者や地元住民と協議を行い、十分な理解の上、進めていくことを要望していました。
しかし、担当課は、十分な協議も地元住民の皆さんの理解も得られないまま、今回の予算案を上程されていました。
教育福祉委員会としては、執行部の原案に賛成意見はなく、一部減額の修正案が賛成多数で採択されました。
修正案は2案出されました。
1,中津江地区福祉保健施設移転整備事業 24,327千円のうち一部減額
(1)中津江ホール解体工事設計業務委託料 1,606千円を全額減額
(2)用地購入費 7,706千円を全額減額
2,中津江地区福祉保健施設移転整備事業 24,327千円を全額減額
修正案を審議する際、「上中津江の高齢者福祉センター事業として進められてきた計画であるにも関わらず、直前で中津江地区福祉保健施設移転整備事業と書き換え、上津江という言葉だけを削除し、災害復旧が一番の理由であるとの説明は矛盾している。」「地域住民との協議や話し合いが足りていない。」ということは全員一致した意見でした。
そこで、
1の修正案は、事業をストップしてしまうのではなく進めながら、早急に地域の方との話し合いを行うことというものです。
ただし、中津江ホールの解体や用地買収については、現段階での計画案では、認められない。
2の修正案は、急遽事業名が変更されたことも納得できるものではない。事業計画そのものを全額減額し、一から作り直すという案でした。
私は、1の一部減額の修正案に賛成しました。
私が「市民参画のまちづくり重要だ」と生ぬるい一般質問を行ったあとの三苫議員の「中津江地区福祉保健施設移転整備事業は、合意はとれていないが、進めていくのか」という質問に対しての執行部の答弁は、地域の方々への配慮の無い一方的なものでした。
行政も事業スケジュールや予算、財政状況を考えながら、この事業に限らず、取り組んでいることは理解します。
しかし、住んでいる方々の意見や声を、なかなかまとまらないからと言って、合意形成をせずに進めていってはいけないのです。
私は、事業を完全にストップして一からやり直すのか、予算をつけて設計は進めることに賛成するのか、とても悩みました。
予算をつけることで、また話し合いや協議、意見交換の場が丁寧に開かれないままに進んでいくことになるのではないかと考えました。
私が上津江や中津江の方、一人一人と意見交換をしたわけではありません。
中津江の住民説明会やその他、知っている方のところを尋ねて、お話を聞かせていただいた程度で、どのような意見がどんな風に交わされているのか、全容の把握もしていません。
そのなかで、一部減額の修正案に賛成することは、地域住民に配慮しない、現在の日田市のやり方を認めることになるのではないかとも考えました。
しかし、このままストップさせるのではなく、行政がもっと丁寧に取り組むよう、私自身も関わっていきます。
地域住民の声を無視して事業を進めない、
どんな途中のものでも必ず情報公開を行うこと、
本当の市民参画の話し合いを行うこと、
本当の市民参画は、準備や手間がかかります。
どんな意見が出たのか、一つ一つ、聞き逃さないことも大切です。
それでも、丁寧に進めていけば、必ず、合意形成ができます。
AかBかの案を二つから選ぶのではなく、AとBを合わせてCという意見にもDという意見にも積み上げていくこともできます。
一般質問同様、もっと真摯に向き合い、一人一人の声を聞き逃さないよう取り組んでいきます。